頭が痛いとは?
どんな症状?
頭が痛い(頭痛)というのは、頭部やその周辺に感じる痛みや不快感を指します。この症状は非常に一般的で、原因や性質によっていくつかのタイプに分類されます。以下は、頭痛の主な症状と種類です。
1. 緊張型頭痛
- 症状: 頭全体や後頭部に締め付けられるような鈍い痛み。軽度から中程度の強さ。
- 原因: ストレス、姿勢の悪さ、肩や首の筋肉の緊張など。
- 特徴: 持続的で、運動によって悪化しない。
2. 片頭痛
- 症状: 頭の片側に強いズキズキとした痛み。吐き気や光・音に対する過敏症を伴うことが多い。
- 原因: ホルモンの変動、睡眠不足、特定の食べ物、ストレスなど。
- 特徴: 数時間から数日間続き、日常生活に支障をきたすことがある。
3. 群発頭痛
- 症状: 激しい痛みが片側の目の周辺やこめかみに集中する。鼻づまりや涙が出ることもある。
- 原因: 明確にはわかっていないが、体内時計の乱れや血管の異常が関与。
- 特徴: 短期間に集中して発生し、1回の痛みは15分~3時間続く。
4. 二次性頭痛
- 他の病気が原因で起こる頭痛で、以下が考えられます:
- 症状: 発熱、視覚障害、突然の激痛、意識障害などを伴うことがある。
- 原因:
- 副鼻腔炎(鼻や顔面の圧迫感を伴う)
- 脳出血や脳腫瘍(突然の激しい頭痛や神経症状)
- 高血圧(持続的な鈍い痛み)
5. その他
- 薬物乱用頭痛: 頭痛薬の過剰使用で起こる。
- 眼精疲労: 長時間のパソコンやスマホ使用が原因で起こる。
頭痛が突然激しく起こる、普段とは違う種類の痛み、または発熱や神経症状を伴う場合は、すぐに医療機関を受診することが重要です。
東洋医学的な原因とは?
東洋医学では、頭痛の原因を気(エネルギー)、血(血液)、津液(水分)のバランスの乱れや、外部からの邪気(外因)によるものと考えます。以下は、東洋医学的な視点からの主な頭痛の原因です。
1.外因によるもの(風邪の影響)
外部からの邪気(特に風邪)が身体に侵入して引き起こすとされます。
- 風寒頭痛:
- 原因: 寒さや冷風に当たることが原因。
- 症状: 頭が重く、締め付けられるような痛み。寒気を伴うことが多い。
- 治療法: 温める作用のある生姜や桂枝(ケイシ)を使う。
- 風熱頭痛:
- 原因: 熱を伴う風邪が原因。
- 症状: 頭が熱っぽく、ズキズキする痛み。喉の痛みや発熱を伴うことがある。
- 治療法: 熱を冷ます板藍根や菊花(キクカ)を使用。
- 風湿頭痛:
- 原因: 湿気が多い環境や体内の湿が原因。
- 症状: 頭が重だるく、痛みが鈍い。体がだるいことも。
- 治療法: 湿を取り除く蒼朮(ソウジュツ)や茯苓(ブクリョウ)を使う。
2.内因によるもの(気血の乱れ)
体内の気血や臓腑の働きの不調が原因とされます。
- 気滞頭痛:
- 原因: ストレスや感情の抑圧で気が滞ること。
- 症状: 頭の締め付け感や重苦しさ。気分の不快感を伴う。
- 治療法: 気を巡らせる陳皮(チンピ)や香附子(コウブシ)を使う。
- 血虚頭痛:
- 原因: 血の不足(貧血や栄養不足)。
- 症状: 頭がぼんやり痛む。疲れやめまい、顔色が悪い。
- 治療法: 血を補う当帰(トウキ)や熟地黄(ジュクジオウ)を用いる。
- 肝陽上亢頭痛:
- 原因: ストレスや怒りで肝の気が上昇し、陽が過剰になる。
- 症状: 頭頂部やこめかみのズキズキする痛み。めまいや耳鳴りを伴うことも。
- 治療法: 肝を鎮める菊花(キクカ)や竜骨(リュウコツ)を使う。
- 腎虚頭痛:
- 原因: 加齢や過労による腎のエネルギー不足。
- 症状: 鈍い痛みが続く。腰痛や疲労感を伴う。
- 治療法: 腎を補う山薬(サンヤク)や枸杞子(クコシ)を用いる。
3.その他の要因
- 痰湿頭痛:
- 原因: 痰(余分な体液や老廃物)が体内に滞る。
- 症状: 頭が重く、霧がかかったようにぼんやりする痛み。
- 治療法: 痰を除く半夏(ハンゲ)や茯苓(ブクリョウ)を使う。
- 瘀血頭痛:
- 原因: 血流が悪く、血が滞る(瘀血)。
- 症状: 固定された痛みや刺すような痛み。古傷や打撲の後に発症することが多い。
- 治療法: 血行を改善する丹参(タンジン)や紅花(コウカ)を使用。
薬膳茶での処方例とは?
頭痛に対する薬膳茶の処方は、頭痛のタイプや原因(東洋医学的な観点からの体質や症状)によって異なります。以下は、代表的な頭痛タイプに応じた薬膳茶の処方例です。
1. 緊張型頭痛(気滞頭痛)
特徴: ストレスや精神的な緊張が原因で、頭が重く締め付けられるような痛み。
薬膳茶例: 陳皮ミント茶
材料:
- 陳皮(みかんの皮を乾燥させたもの)…5g
- ペパーミント(または薄荷葉)…5g
- 菊花(キクの花)…3g
- 蜂蜜(お好みで)…適量
- 作り方:
- 陳皮、ペパーミント、菊花をティーポットに入れる。
- 熱湯を注ぎ、5分蒸らす。
- 蜂蜜で甘みをつけて飲む。
- 効果: 気を巡らせ、ストレスを和らげる。リラックス効果もあり。
2.片頭痛(肝陽上亢頭痛)
特徴: 肝のエネルギーが過剰で頭頂部やこめかみにズキズキする痛み。めまいや目の疲れを伴うことも。
薬膳茶例: 菊花決明子茶
材料:
- 菊花(キクの花)…5g
- 決明子(ケツメイシ)…10g
- 山査子(サンザシ)…5g
- 氷砂糖(お好みで)…適量
- 作り方:
- 菊花、決明子、山査子を軽く水で洗う。
- 材料をポットに入れ、熱湯を注ぎ10分蒸らす。
- 氷砂糖を加えて飲む。
- 効果: 肝を鎮め、目の疲れを和らげ、血流を促進する。
3.血虚頭痛
特徴: 血の不足によるぼんやりした痛み。疲労感やめまいを伴うことが多い。
薬膳茶例: 当帰紅棗茶
材料:
- 当帰(トウキ)…5g
- 紅棗(ホンゾウ、なつめ)…3個
- 生姜スライス…2枚
- 黒糖(お好みで)…適量
作り方:
- 紅棗を軽く切り込み、他の材料とともに鍋に入れる。
- 水500mlを加えて15分煮る。
- 黒糖を加え、温かいうちに飲む。
効果: 血を補い、体を温める。疲労回復にも効果的。
4.風寒頭痛
特徴: 寒気や冷たい風に当たった後に起こる締め付けるような痛み。
薬膳茶例: 生姜桂枝茶
材料:
- 生姜スライス…3枚
- 桂枝(ケイシ)…5g
- シナモンパウダー(代用可)…少量
- 蜂蜜(お好みで)…適量
作り方:
- 生姜と桂枝を鍋で煮出し、10分程度加熱する。
- 蜂蜜を加えて飲む。
効果: 体を温め、寒邪を取り除く。冷えによる痛みを和らげる。
5.痰湿頭痛
特徴: 頭が重だるく、霧がかかったような感覚。消化不良やむくみを伴うことが多い。
薬膳茶例: 茯苓陳皮茶
- 材料:
- 茯苓(ブクリョウ)…10g
- 陳皮…5g
- 生姜スライス…2枚
- 大棗(ナツメ)…2個
- 作り方:
- 材料を鍋で煮出し、10分間加熱する。
- 茶こしでこして飲む。
- 効果: 痰湿を取り除き、消化を助ける。
病院ではどのような検査や診断を行うの?
病院で頭痛を診断する際には、頭痛の種類や原因を特定するために、患者の症状や背景を詳しく評価し、必要に応じて検査を行います。以下は一般的な診察や検査の流れです。
1.問診
頭痛の特徴:
- 痛みの強さ(軽度~重度)
- 痛みの種類(ズキズキ、締め付けるような痛み、刺すような痛みなど)
- 痛む場所(片側、両側、頭頂部、後頭部など)
- 頭痛が始まったタイミングや頻度(慢性、急性、発作的など)
誘因や悪化要因:
- ストレス、疲労、食事、睡眠不足、天候など。
随伴症状:
- 吐き気、めまい、光や音への過敏、視覚障害、発熱、意識の変化など。
生活習慣や既往歴:
- 喫煙や飲酒の習慣、薬の使用、過去の病気(高血圧、偏頭痛の既往など)
2.身体診察
- 神経学的診察:
- 頭痛が脳や神経の異常から来ている可能性を調べる。
- 反射、筋力、感覚、バランス、視神経(視力・視野)のチェック。
- 血圧測定:
- 高血圧性頭痛を確認するため。
- 頸部の状態:
- 筋肉の緊張や可動域をチェックして緊張型頭痛かどうかを評価。
3.画像診断
原因をより詳しく調べるために行われる検査:
- CT(コンピュータ断層撮影):
- 主に脳出血や腫瘍、外傷による異常を確認。
- MRI(磁気共鳴画像):
- 脳内の詳細な構造を評価。腫瘍、脳梗塞、動脈瘤、炎症性疾患を調べる。
- MRA(磁気共鳴血管撮影):
- 動脈瘤や血管の異常(例えば解離性動脈瘤や血栓)を評価する。
4.血液検査
以下の原因を探るために行われます:
- 感染症: 白血球数や炎症マーカー(CRP)の上昇をチェック。
- 貧血: 血中ヘモグロビンや鉄分の測定。
- 自己免疫疾患: 抗体や補体レベルを確認。
- ホルモン異常: 甲状腺機能や副腎機能を調べる。
5.特殊な検査
- 腰椎穿刺(脳脊髄液検査):
- 髄膜炎、脳炎、くも膜下出血(CTで確認できない場合)などを調べる。
- 眼底検査:
- 視神経の腫れ(脳圧亢進の兆候)を確認。
- 脳波検査:
- 頭痛と関連したてんかんの可能性を探る。
6.頭痛の診断基準に基づく評価
医師は国際頭痛分類(ICHD-3)を基に、頭痛の種類(例えば、片頭痛、緊張型頭痛、群発頭痛、二次性頭痛)を診断します。
診断後の治療方針
頭痛が一次性頭痛(片頭痛や緊張型頭痛など)と判明した場合:
- 薬物療法(鎮痛薬、予防薬)や生活指導。
頭痛が二次性頭痛(脳出血や感染症など)と判明した場合:
- 原因疾患に応じた緊急治療や専門的な管理。
病院ではどのような治療を行うの?
病院での頭痛治療は、原因や頭痛の種類に応じて異なります。治療の目的は、症状の緩和と、根本的な原因の解消や管理です。以下に、病院で行われる主な治療法を説明します。
1.一次性頭痛(片頭痛、緊張型頭痛、群発頭痛)の治療
(1) 片頭痛
- 急性期治療(発作時に行う治療):
- トリプタン製剤: 脳の血管を収縮させ、片頭痛特有の痛みを鎮める。
- 鎮痛薬: NSAIDs(イブプロフェン、ロキソプロフェンなど)が用いられる。
- 制吐薬: 吐き気を伴う場合にメトクロプラミドなどを併用。
- 予防治療(発作の頻度を減らすための治療):
- β遮断薬(プロプラノロールなど)
- 抗てんかん薬(バルプロ酸、トピラマートなど)
- カルシウム拮抗薬(ロメリジンなど)
- CGRP受容体拮抗薬(エレヌマブなど): 新しい片頭痛予防薬。
(2) 緊張型頭痛
- 薬物療法:
- 鎮痛薬: 軽度の頭痛にはアセトアミノフェンやNSAIDs。
- 筋弛緩薬: 筋肉の緊張が原因の場合に使用。
- 抗うつ薬: 慢性緊張型頭痛には三環系抗うつ薬(アミトリプチリン)が有効。
- 非薬物療法:
- 理学療法: 温熱療法やマッサージ、ストレッチ。
- ストレス管理: リラクゼーション療法や認知行動療法(CBT)。
(3) 群発頭痛
- 急性期治療:
- 純酸素吸入: 発作時に100%酸素を吸入すると症状が緩和される。
- トリプタン製剤: 皮下注射や点鼻薬が速効性で有効。
- 予防治療:
- ベラパミル(カルシウム拮抗薬)が第一選択。
- リチウムやステロイドの短期使用も検討される場合あり。
2.二次性頭痛の治療
二次性頭痛は、頭痛の原因となる基礎疾患の治療が必要です。
(1) 脳出血やくも膜下出血
- 緊急治療が必要で、以下の治療が行われます:
- 外科的手術(血腫除去術、クリッピング術など)。
- 血圧管理や血管拡張薬の使用。
(2) 感染症(髄膜炎、脳炎など)
- 抗生物質や抗ウイルス薬を使用。
- 点滴による水分補給や脳圧を下げる治療も行われる。
(3) 副鼻腔炎
- 抗生物質、消炎薬を使用し、場合によっては副鼻腔のドレナージ。
(4) 高血圧性頭痛
- 血圧を下げるための降圧薬の投与。
- 生活習慣改善の指導(塩分制限、運動など)。
(5) 脳腫瘍
- 外科手術、放射線治療、化学療法など、腫瘍の種類や進行状況に応じた治療。
3. 非薬物療法
薬物療法と併用されることが多い非薬物療法です。
- 鍼灸: 特に緊張型頭痛や片頭痛に効果があるとされる。
- 理学療法: 頭痛の誘因となる筋緊張を緩和。
- 心理療法:
- ストレス管理、リラクゼーション法、マインドフルネスなど。
4. 慢性頭痛の総合的管理
慢性化した頭痛には、薬物療法と生活改善を組み合わせたアプローチが取られます。
- 生活習慣指導:
- 規則正しい睡眠、バランスの取れた食事、適度な運動。
- 頭痛日記の活用:
- 発症頻度や誘因を記録して治療方針を調整。
5. 緊急時の治療
以下のような症状がある場合は緊急治療が行われます:
- 雷鳴頭痛(突然の激しい痛み)。
- 意識障害や神経学的症状を伴う場合。
- 持続的な激しい頭痛で薬が効かない場合。
これらの際には、迅速な検査と専門医による治療が行われます。
一般的な経過は?
頭痛の一般的な経過は、原因や頭痛の種類によって異なりますが、多くの場合、適切な治療や生活習慣の見直しで改善することが期待されます。以下に、頭痛の種類ごとの一般的な経過と特徴を説明します。
1. 一次性頭痛の経過
一次性頭痛は、特定の疾患が原因ではなく、頭痛そのものが病気とされるタイプです。
(1) 片頭痛
- 経過:
- 発作は数時間から数日続きます(典型的には4~72時間)。
- 頭痛の頻度や強さは個人差が大きいですが、月に数回~数十回の発作を繰り返すことがあります。
- 年齢とともに軽減する傾向があり、特に閉経後に改善することが多いです。
- 予後:
- 適切な急性期治療と予防治療を行うことで発作を管理可能。
- 発作の誘因(ストレス、ホルモン変動、特定の食品など)を避けることで症状が軽減。
(2) 緊張型頭痛
- 経過:
- 数十分~数日続くことがあり、慢性的な緊張型頭痛では頻度が高くなる(週に15日以上続くことも)。
- 筋肉の緊張やストレスが原因の場合、原因の改善で軽減。
- 予後:
- 生活習慣の改善やリラクゼーション療法で良好な経過をたどることが多い。
- 長期間放置すると慢性化し、治療が難しくなることも。
(3) 群発頭痛
- 経過:
- 短期間(通常1~3か月)に集中して発作が起こり、その後長期間(数か月~数年)症状が消える。
- 1回の発作は15分~3時間程度続くが、1日に数回起こることも。
- 予後:
- 発作期は非常に激しい痛みが特徴ですが、非発作期には症状が完全に消失する。
- 適切な治療で発作期をコントロール可能。
2. 二次性頭痛の経過
二次性頭痛は基礎疾患が原因のため、治療の経過は疾患の進行や治療の成否に依存します。
(1) 脳出血やくも膜下出血
- 経過:
- 急激に発症することが多く、適切な治療を受けないと生命に危険が及ぶ。
- 治療後も頭痛や神経症状が残ることがあります。
- 予後:
- 治療が早ければ回復が見込めるが、重症例では後遺症が残ることも。
(2) 感染症(髄膜炎、脳炎など)
- 経過:
- 急性の頭痛が主症状となり、抗生物質や抗ウイルス薬で治療を行う。
- 回復には数週間~数か月かかる場合がある。
- 予後:
- 適切な治療を受ければ改善するが、重症例では後遺症(聴覚障害や神経障害)が残ることも。
(3) 高血圧性頭痛
- 経過:
- 高血圧がコントロールされると頭痛は改善する。
- 慢性的に高血圧が続くと他の合併症(脳卒中、腎不全)が発生する可能性あり。
- 予後:
- 早期の降圧治療で予後は良好。
3. 慢性頭痛の経過
慢性化した頭痛(片頭痛、緊張型頭痛、薬剤乱用頭痛など)は、長期的な治療と管理が必要です。
- 頭痛の頻度が減るまでに時間がかかる場合がある。
- 頭痛日記をつけたり、予防薬を使うことで症状のコントロールが可能。
4. 一般的な経過の良い要因
- 症状に応じた適切な治療を受けている。
- 誘因(ストレス、睡眠不足、特定の食品)を避けることができている。
- 規則正しい生活習慣を維持している。